読書録

Sunday, January 29, 2006

The Da Vinci Code Dan Brown (著)

歴史や神話が好きな人に。

ミステリーとして見た場合のプロットの良し悪し、ということについては色々な意見があるだろうと思います。
でも、歴史や神話が好きな人、特にフリーメイソンなどの秘密結社について多少なりとも関心のある人であれば、間違いなく楽しめるはずです。背景に興味が持てるかどうかで本書の評価が大きく変わると思います。英語の難易度はハリーポッターと大して変わりません。

Thursday, January 26, 2006

たったの72パターンでこんなに話せる英会話 味園 真紀 (著)

これも悪くないかも。

72パターンの文法項目別に例文が7つ程度並んでいて、これを付属のCDを活用しつつ繰り返し音読することで英会話の運用力を身に付けようというもの。コンセプトとしては、市橋敬三氏の一連の著作によく似ている。

後発の利点を活かし、レイアウトは見やすく、分量も解説も穏当。CDは日本語→英語の順でややゆっくり目。独創性には欠けるが、教材としては使いやすい。ただし表紙は好き嫌いが分かれそう。

市橋敬三氏の著作は、どれも1冊あたりの例文が多く、マスターするのにかなり根気が必要である。そこまでの根気はないよ、という人はとりあえず本書に取り組んでみるのもよいかもしれない。

Wednesday, January 25, 2006

著作権法 斉藤 博 (著)

学術的関心から著作権法を学ぶ人に。

良くも悪くもいかにも学者が書いた本という感じで、比較法的見地や抽象理論の解説に詳しい一方、裁判例については極めて簡単にしか触れられていない。著作者人格権と著作者財産権の二元論に忠実で、そこから演繹的に結論を導いている箇所が多く見られる。訴訟実務に関心があるなら田村善之「著作権法概説」(有斐閣)、立法動向に関心があるなら作花文雄「詳解著作権法」(ぎょうせい)、学術的関心なら本書、と目的に応じて使い分けるのが良いだろう。なお、パロディは日本の「精神風土」に馴染まない旨の本書の主張は、主観的にすぎ、学問的検証に耐え得るものとは思われない。

Sunday, January 22, 2006

英会話・やっぱり・文法 古家 聡 (著), マイケル エドワーズ (著)

悪くないかも。

本書は、50の文法項目ごとに6つずつ並んだ例文を、付属のCDを活用しつつ繰り返し音読することで、会話で使える文法を身に付けようというもの。コンセプトとしては、市橋敬三氏の一連の著作に近い。

冒頭に、会話で使われることの少ないTo不定詞を主語にした例文が並んでいるのは、本書のコンセプトに照らして適切か疑問がある。しかし、その他の項目については、会話でよく使う文法項目がだいたい網羅してあって、全体としては決して悪くないと思う。

市橋敬三氏の著作は、どれも1冊あたりの例文が多く、マスターするのにかなり根気が必要である。そこまでの根気はないよ、という人はとりあえず本書に取り組んでみるのもよいかもしれない。

Wednesday, January 18, 2006

国際私法入門 沢木 敬郎, 道垣内 正人 (著)

全体像の把握に。

「簡にして要を得た」という表現がピッタリの教科書。全体で200ページ程度の小著ながら、国際私法の学説史から国際民事訴訟法まで解説しているので、繰り返し読んで全体像を把握するのに最適である。文章は無駄がなく、かつ、読みやすい。

本書は故澤木教授の原著を道垣内教授が改訂したものだが、累次の改訂の結果、単なる補訂に留まらず、所々で道垣内教授の自説が前面に出たものとなっている。ただ、基本的には個々の論点の詳細よりも制度とその背景の解説を中心としているので、教科書としての汎用性に欠けるところはない。共著にありがちな文体の不統一も見られない。広くお勧めできる良著である。

Monday, January 09, 2006

TOEIC最強の学習法 池田 和弘(著)

今でもオススメ!

栄枯盛衰の激しいこの分野で初版以来10年以上も版を重ねていることが本書の秀逸さを証明しています。

音読重視、リスニング重視の学習法は今でこそ常識になりつつありますが、本書が出版された当時は「英語の勉強=英文解釈や英文法の問題を解くこと」という考え方が一般的でした。音声重視の勉強法を一般の学習者向けに説得力ある形で提示したのは、私が知る限り、本書が元祖です。極論に走らず、理論と体得のバランスの採り方を具体的に提示した本書の学習法は、今でも非常に参考になります。

学習法を述べた本には読者のモティベーションを高めるという役割もありますが、本書はこの点でも優れています。学生時代以来の筆者の英語修行の歴史が、ドラマティックに綴られていて、読者の共感を呼びます。冒頭から巻末まで、筆者の意気込みが感じられる勢いある文体で、読み終わると自分も頑張らなければという気にさせられます。

今でも時々本棚から引っ張り出して読み返しています。本気で英語を勉強しようという全ての人に、自信をもってお勧めします。

Saturday, January 07, 2006

Harry Potter and the Chamber of Secrets J.K. Rowling(著)

子供も大人も。
ハリーポッター第2作。序盤は快調、途中ちょっとテンポが落ちますが、後半は一気に読ませます。あちこちに張った伏線を丁寧に回収していくラストに、著者の良心を感じました。この丁寧な作りが、ベストセラーの所以でしょうか。第1巻が楽しめた人なら、決して後悔しないと思います。

Thursday, January 05, 2006

こう読めばかんたん! 長文英語 英語のコンビニ 文理編集部(著)

スピーキングの訓練に!

本来、高校入試のリーディングのための教材ですが、私は日本語→英語の口頭英作文の素材として購入しました。

口頭英作文の素材として見た場合の本書の特長は、
○レベルが適当。中学英語の範囲に忠実で、単語もやさしい。
○レイアウトが使いやすい。見開き左に英文、右に和訳という構成。
○和訳が直訳なので、口頭英作文に使いやすい
○安い!
の4点です。

使い方としては、右側の和訳を見て口頭でどんどん英作文していき、左側の英文で確認、音読という方法でよいでしょう。オススメです。

Tuesday, January 03, 2006

犯罪と刑罰 ベッカリーア(著)

刑法学の原点。

刑法を学んだことのある人なら誰でも罪刑法定主義の祖としてベッカリーアの名は記憶しているだろう。だが、実際に本書を手にとって読む人は必ずしも多くないのではなかろうか。

実際に読んでみると色々と発見があるもので、例えば、ベッカリーアが罪刑法定主義を主張する際に社会契約論を根拠としていたことは本書を読むまで知らなかった。

本書の記述は、ある箇所では社会契約論を用い、別の箇所では功利主義を使い、他の箇所では直感的な道徳観に訴える等、現代的な視点から見ると必ずしも一貫していないようにも思える。だが見方を変えれば、整理整頓される前の近代思想の生成過程を知ることのできる貴重な資料とも言えるだろう。

翻訳は、マルクス主義的な脚注がやや気になるが、概ね読みやすい。