読書録

Friday, February 03, 2006

著作権法概説  田村 善之(著)

教科書として最適。

「著作権侵害と主張するための要件」→「著作権侵害との主張に対する防御方法」→「著作権侵害の効果」という訴訟の流れを意識した章立てになっていること、裁判例について図版を交えた詳細な解説がなされていることから、具体的な事案処理の方法を学ぶことができる。学生が教科書として読むには本書が最適と思われる。

学術書としては、インセンティブ論の立場から一貫した叙述がなされている点と、アイデア/表現の二元論を重視している点が特徴である。

レファレンスとして使う場合には、所々、著者独自の見解と裁判例等の通説的見解の区別がつき難い箇所があるので、若干の注意が必要かもしれない。また、改訂後5年が経過しているので、最近の法改正には対応していない。