読書録

Friday, April 15, 2005

速読速聴・英単語 Core 1800 ver.2 松本 茂 (著), その他

他の教材との比較(これから選ぶ人のために)

Z会らしい手堅い作りの本です。粗製濫造されがちな英語参考書の中では、良心的な部類に属すると言ってよいでしょう。ベストセラーになるのも分かる気がします。

ただ、問題は、ニュース記事を題材にしているため、どうしてもタイムラグが生じるということです。Z会は今後も頻繁に改訂する方針のようですが、それでも 時事性の喪失は避けられません。ニュースは日々大量に発生しているので、余程の大事件でない限り、一年前の記事でもどうでもよくなっていることが通常で す。数年前のニュース記事というのは、一般的にはあまり興味深い内容ではないはずです。

個人的には、このレベルの教材であれば、同じZ会 から出ている「話題別英単語リンガメタリカ」という本の方をお勧めします。数年前に出た本ですが、こちら はニュース記事ではなく、テーマ別の論説文が題材なので、一部を除けば特に古さは感じさせません。内容的にはこちらの方が面白いと私は思います。コロケー ションの解説もあり盛り沢山です。別売りですがネイティブスピードで吹き込まれたCDもあります。分類としては受験参考書ということになっていますが、社 会人にも十分使える内容です。書店で実際に手にとって本書と見比べてみることをお勧めします。

また、同じ「速読速聴」シリーズでも、「速 読速聴英単語―Basic 1200」は優れた本です。「Core 1800」と違い、ネイティブが書き下ろしたオリジナル英文が題材なので、陳腐化することはありません。興味を持って続けられます。内容は中学英語レベル ですが、初級者のうちは音読、中級者になったらディクテーション、そして上級者になったら暗記、といった具合に使い方を変えていけば、一冊でずっと使えま す。こちらも書店で手にとって見ることをお勧めします。

なお、以上はこれから教材を選ぶ人に向けたアドバイスで、既に本書を使ってある程 度学習をしている人はわざわざ他の本に乗り換える必要は全くありません。 個人的には、教材を使って学習する場合の最終的な目標は、内容を暗記してしまうことにあり、あれこれ手を出さずに少数のものに集中して取り組むことが重要 だと思っています。(量の追求は、Graded Readerやペーパーバックを多読したり、ネットラジオを多聴したりして、教材以外のもので行う方が効果的で、また経済的でしょう。)上で否定的なこと も書きましたが、本書は決して悪い教材ではありません。数ある英語教材の中では間違いなく良質のものです。既に使い始めている人は、自信を持って使い続け て下さい。