読書録

Tuesday, January 03, 2006

犯罪と刑罰 ベッカリーア(著)

刑法学の原点。

刑法を学んだことのある人なら誰でも罪刑法定主義の祖としてベッカリーアの名は記憶しているだろう。だが、実際に本書を手にとって読む人は必ずしも多くないのではなかろうか。

実際に読んでみると色々と発見があるもので、例えば、ベッカリーアが罪刑法定主義を主張する際に社会契約論を根拠としていたことは本書を読むまで知らなかった。

本書の記述は、ある箇所では社会契約論を用い、別の箇所では功利主義を使い、他の箇所では直感的な道徳観に訴える等、現代的な視点から見ると必ずしも一貫していないようにも思える。だが見方を変えれば、整理整頓される前の近代思想の生成過程を知ることのできる貴重な資料とも言えるだろう。

翻訳は、マルクス主義的な脚注がやや気になるが、概ね読みやすい。

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