読書録

Monday, December 26, 2005

権利のための闘争 イェーリング (著)

情熱の書。

自己の権利が侵害された際に法廷等で徹底して闘うことは、単なる損得勘定の問題ではなく、自己の尊厳を回復するための倫理的自己保存であり、法を実現するための共同体に対する義務であると説いた情熱の書。

和をもって尊しとなし、訴訟を嫌う日本人にとって、西欧精神の極みである本書の主張は衝撃的であったらしく、西周により邦訳されて以降、法学部生の必読書として読み継がれている。英語圏ではほとんど読まれないことを思うと興味深い現象である。

余裕があれば、川島武宜「日本人の法意識」(岩波新書)や中島義道「ウィーン愛憎」(中公新書)と併読することを勧める。特に後者は西欧人の「権利感覚」が日常の中でどのように発現するか分かり面白い。

村上淳一の翻訳は躍動感あふれる名訳である。

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