読書録

Wednesday, October 19, 2005

判例行政法入門 芝池 義一 (編)

効率的な行政法の学習に。

京都大学系の学者が執筆した行政法の判例集。「判例百選」などのように判例を掲載した後に解説を付すのではなく、基本知識を解説した後に判例を掲載している点に特徴がある。

行政法は、議論のフレームが個々の学者によって異なり、はっきりした通説が確立しているわけでもないので、将来学者を目指すのでもない限り、あまり講学上の議論に深入りしても「労多くして益少なし」という感がある。そうした意味で、判例を中心に勉強するのが最も手堅いと思われるが、他方で全く理論を知らずに判例を読んでも判例の意義が理解できないおそれがある。この点、本書は最低限の基本知識は解説してあるので、初学者の学習素材として最適である。

「入門」というタイトルではあるが、全部で150以上の判例を収録しているので、本書程度の内容が十分に理解できれば、学部試験は勿論のこと、司法試験以外の資格試験では合格点が取れるだろう。他方、全くの初学者にはややレベルが高いので、 そういう人は藤田宙靖「行政法入門」(有斐閣)を読んでから本書に取り組むとスムーズに理解できるだろう。

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