読書録

Sunday, September 04, 2005

ゼミナール民法入門 道垣内 弘人 (著)

ハイレベルな入門書。

本書は「民法入門」というタイトルではあるが、なかなかハイレベルである。主要な論点に一通り触れてあるほか、最近の学説や立法の動向にも言及している。本書に書いてある程度のことが理解できれば、学部試験は勿論のこと、司法試験以外の各種試験では合格点が取れるだろう。

法律学の概説書は、多くの情報を一冊に盛り込もうとするあまり、レジュメを接続詞で繋いだだけのような無機質なものになりがちである。しかし、本書は内容の豊富さと「読み物」としての面白さを見事に両立しており、軽妙な叙述を楽しんで読み進めることができる。

ただ、本書は全くの初学者にはややレベルが高すぎるかもしれない。これまで一度も民法を学んだことがない人が本書を読んだ場合、概念の洪水に圧倒され、「真意に反する意思表示」の箇所辺りで挫折してしまう可能性が高い。そういう場合は、もっと簡単な他の本(例えば「ファーストステップ民法」(東洋経済新報社刊))を読んでから本書を読み直すとよいだろう。

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