読書録

Friday, February 29, 2008

大学という病―東大紛擾と教授群像 竹内 洋(著)

「大学の自治」の正体

戦前から戦中にかけての東大経済学部の歴史を扱ったもの。法学部からの独立を果たした直後から派閥抗争に明け暮れ、遂には当局の介入を誘発して崩壊していく過程が、豊富な資料に基づき丹念に描かれる。そこから浮かび上がるのは、「教授会による自律的人事」という大学特有の制度のガバナンスシステムとしての不全性であり、また、実質としての研究・学問を犠牲にしてでも形式としての自治を守ろうとする大学人の救いがたい体面主義である。著者の他の著作と同じように、文章や分析に何とも言えない味わいがあり、単純に読み物として面白い。

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