財政学から見た日本経済 土居 丈朗 (著)
熱い財政再建論。
著者は若手の財政学者。自民党政権下での農村部へのバラ撒きや特殊法人の放漫経営、小渕内閣の財政出動等によって、日本の財政は破綻の危機に瀕しており、将来のハイパーインフレ又は増税が不可避であると説く。主張自体は目新しいものではないが、実証データに基づいているので説得力がある。
ただ、時系列での分析を示していないので、いつ頃破綻する可能性が高いのかは本書からは判断できない。この点は、例えば当面の景気低迷の克服策として一部で有力に主張されているインフレターゲット論との関係を知るためにも必要な情報であるから、是非とも提示してほしかった。
著者はまた、これからの福祉政策は従来のような地域単位、産業単位ではなく、あくまでも個人を単位として行うべきだと提言する。この点での著者の主張はとりわけ熱い。行間から熱意が染み出してくるようだ。本書第3章は全ての都市住民必読といってよいだろう。評者も著者の主張に深く同意する。
最後に、蛇足ながら、財政学者は偉くなればなるほど、財務省か旧自治省に取り込まれ、いずれかの系統の御用学者になりがちである。実際のところ日本の財政政策の中枢はこれらの官庁なのだから、仕方ない部分もあるが、著者には是非とも中立を貫いてほしい。
著者は若手の財政学者。自民党政権下での農村部へのバラ撒きや特殊法人の放漫経営、小渕内閣の財政出動等によって、日本の財政は破綻の危機に瀕しており、将来のハイパーインフレ又は増税が不可避であると説く。主張自体は目新しいものではないが、実証データに基づいているので説得力がある。
ただ、時系列での分析を示していないので、いつ頃破綻する可能性が高いのかは本書からは判断できない。この点は、例えば当面の景気低迷の克服策として一部で有力に主張されているインフレターゲット論との関係を知るためにも必要な情報であるから、是非とも提示してほしかった。
著者はまた、これからの福祉政策は従来のような地域単位、産業単位ではなく、あくまでも個人を単位として行うべきだと提言する。この点での著者の主張はとりわけ熱い。行間から熱意が染み出してくるようだ。本書第3章は全ての都市住民必読といってよいだろう。評者も著者の主張に深く同意する。
最後に、蛇足ながら、財政学者は偉くなればなるほど、財務省か旧自治省に取り込まれ、いずれかの系統の御用学者になりがちである。実際のところ日本の財政政策の中枢はこれらの官庁なのだから、仕方ない部分もあるが、著者には是非とも中立を貫いてほしい。
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