読書録

Tuesday, January 11, 2005

戦争の日本近現代史―東大式レッスン!征韓論から太平洋戦争まで 加藤 陽子 (著)

読者への配慮がちぐはぐ

内容は良い。テーマは明確だし、「研究書を水割りしたような本にしない」という著者の目標は、達成されていると思う。問題は文体だ。編集サイドの方針なのかもしれないが、ぎこちない「ですます調」で、皇族言葉風というか、日本昔話風というか、ともかく読みにくい。著者の慣れない様子が伝わってくる。これなら普通に論文調で書いてくれた方がよかった。あと、各章終わりの「参考文献」も趣旨が不明。発展学習のためのブックガイドのようなものかと思いきや、文字通り著者が執筆に当たって参考にした文献を挙げたらしい。でも、「東京大学史料編纂所研究紀要6号」とか「元老院会議筆記後期第18巻」とか並べられても、新書本の平均的読者は戸惑うばかりだ。そもそもアクセスの仕方すら分からない。編集サイドはもう少し考えた方がよかったんじゃないか。繰り返しになるが、内容は良い。

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