憲法と平和を問いなおす 長谷部 恭男 (著)
刺激的な書
民主主義の意義と限界について述べた第1部と、立憲主義の役割について述べた第2部は秀逸で、これだけでも本書を読む価値があると思います。平和主義について述べた第3部でも興味深い議論が展開されます。ただし、「憲法第9条、とりわけ集団的自衛権の否定を、国家による合理的自己拘束としてとらえる」という著者の結論には疑問があります。集団的自衛権の否定が最高裁判所の判例として確立しているならばこういう議論も成り立つかもしれませんが、実際には内閣法制局の「意見」にすぎず、内閣には内閣法制局の「意見」に従う法的義務はありません。つまり、集団的自衛権の否定は法的には自己「拘束」になっていないのです。ともあれ、本書が良書であることには間違いありません。特に抽象的思考が好きな人には、十分な知的刺激を与えてくれることでしょう。
民主主義の意義と限界について述べた第1部と、立憲主義の役割について述べた第2部は秀逸で、これだけでも本書を読む価値があると思います。平和主義について述べた第3部でも興味深い議論が展開されます。ただし、「憲法第9条、とりわけ集団的自衛権の否定を、国家による合理的自己拘束としてとらえる」という著者の結論には疑問があります。集団的自衛権の否定が最高裁判所の判例として確立しているならばこういう議論も成り立つかもしれませんが、実際には内閣法制局の「意見」にすぎず、内閣には内閣法制局の「意見」に従う法的義務はありません。つまり、集団的自衛権の否定は法的には自己「拘束」になっていないのです。ともあれ、本書が良書であることには間違いありません。特に抽象的思考が好きな人には、十分な知的刺激を与えてくれることでしょう。
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